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未来に伝えたいさしがねの技(第8回)

 今回は隅木展開図の説明として、桁と隅木の組み合わせ部分につきまして、その展開図の書き方、さしがね使いの説明を致したいと思います。
 隅木の上端(馬乗墨)、下端(たすき墨)の墨付けにつきましては、第1図を見て頂ければお分かり頂けると思いますので、第2図の棒隅桁組展開図の説明をさせて頂きます。

※さしがね使いにつきましては、さしがねの短手の長さ(8寸)の制限により、5寸を基準とした1/2のさしがね使いとします。

第1図 隅木上端、下端

≪棒隅桁組(第2図)≫

 桁組の墨をする前に化粧桁、化粧隅木であるかによって桁の組み方はその都度判断してください。化粧で見える場合は構造的なことを考えた上で見え掛かりのそれぞれの部材の木割が大切になりま す。そして、何より大切なのは桁組をするときに柱のほぞ穴、隅木の落ち掛かりの切欠き、隅木の切欠きなどを考えた上で、稔じ組、隅木追入れの渡り腮などの組手を考えて、なるべく強度を持たせた上で墨付けをすることが大切と思います。峠を上げるというのも桁の垂木の口脇の欠き込みを少なくして桁の強度を保つためです。
1.先ず上端に芯墨を打ち桁芯㋺を定め、隅木芯㋩及び隅木巾㊁に墨を引きます。
2.そして外側面に㋑の口脇墨を引き渡す。
3.隅木内側を桁外側に矩を巻き口脇線①から立つに科下Bを定め②とする。
4.②の基点から平の半勾配にて③、④、⑤の位置をそれぞれ設け る。
5.桁上端⑤から45度で⑥を設ける。
6.⑥から⑧に平の半勾配を引き渡し隅木外・内を矩に巻き⑦、⑨を定める。
7.⑩より桁木口方向に平勾配を引き渡し⑪を定め垂木下端とする。
8.⑩、⑪の平勾配線に沿い垂木成巾を取り上端を定め桁を勾配なりに削り取る。

第2図 棒隅桁組


田子式規矩法大和流六代目 棟梁 田子和則

月刊 住宅ジャーナル 2016年7月号(VOL92)に掲載