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未来に伝えたいさしがねの技(第6回)

 前回は、平勾配と返し勾配、矩勾配、隅勾配を説明し、勾・殳・玄法の平基本図、隅基本図の名称を説明し、0.5勾配から矩勾配までの勾・殳・玄換算表を添付させていただきました。殳を1.0とする表であり、尺でもセンチでもご利用いただけると思います。
これから規矩図を製作するにあたり、勾配ののびにより部材実長の正確な数値の確認、平面の部材取合い角度がそれぞれの屋根の勾配により変化する角度の確認に大変に便利な換算表であり、規矩術だけでなく、見積もりをするときの、実際に必要な部材の長さ、寸法を正確に求め、木材調書の作成や屋根の上面積や、建築工事全体に必要な施工図面の作成に換算表を役立てていただけます。
私は正確な展開図面や部材ののび寸法などは、勾・殳・玄の換算表を使い、実際の部材の墨付けには、昔から、大工さんが規矩に使用しておりました小平起し法を使い、部材の取合い角度や木取り寸法に役立てております。
小平起しを基本に、今回は勉強をしたいと思います。
最初は基本である棒隅から始めましょう。また、棒隅の論理をしっかり理解することにより、どのような角度の矩使いも出来るようになります。

◆棒隅規矩と其の論理


◆棒隅さしがね使い

田子式規矩法大和流六代目 棟梁 田子和則

月刊 住宅ジャーナル 2016年5月号(VOL90)に掲載